『食べて、祈って、恋をして 女が直面するあらゆることの探求の書』を読んだ感想

読み物
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エリザベス・ギルバート
RHブックス・プラス


ジュリア・ロバーツが主演で映画化になっているこの本は、ギルバートに30歳〜34歳までの間に起こった出来事を基にした実話です。
NYで作家をしている彼女は、30歳になっても自然と世間が思う「家族」をどれひとつ望んでいないと気づいたとき、愕然とした。

結婚生活に別れを告げ、離婚協議中に生まれた大恋愛も気がつけば自分を取り戻せないほどまでには、破綻していた。

恋愛をしている方が日常にメリハリが出て、やる気がでるタイプのリズ(ギルバート)は、15歳の頃から必ず恋人がいた。

ただ1つ問題だったのは、恋愛をする度に付き合っている男性に自分を丸ごと食べられ、心も、時間もお金もありとあらゆる言葉通りの財産を全て差し出してしまう癖があった。

「他人を爪研ぎ柱にすることーなによりも手っとり早く救われるための手段として、わたしは人生の早い時期からそれを使いはじめた。」
きっとそれがわたしの人間的な成熟を妨げる大きな障害になっているにちがいない…。

そう思ったリズは1年間を使って、イタリア、インド、インドネシアを旅することを決意。
そう、たった1つの「恋をしないで独り身を貫くこと」というルールを持って。

こうして、34歳のリズは人生を見つめ直す旅にでることにしました。

イタリアでは、人生の喜びを、インドでは、神に祈り沈黙の静けさを、インドネシアでは、人生のバランスを見つけながら穏やかな心で心地よく行き来する日々を。

リズが犯した過ちは自分にも重なる部分があったり、心にふと浮かぶ今更人には言えないような素朴な疑問を彼女が飾らずに、それでもって慎重で、真面目にぶつかっていく姿勢は、マイノリティだと思っていた考えを代弁してくれているよう。

著書が世界40ヵ国以上に、翻訳されて800万部を突破したベストセラーの裏には、今まで静かな孤独を感じていた人の共感の裏付けであろう。
人間は心のどこかで、誰かと繋がっていたいし共感したい生き物なのだと思う。

離婚をしたり、再婚したり、独り身であろうとそれでも幸せな人は絶対いるのにメディアや世間は決まった幸せの形しか取り上げないし、それを許さない。

生まれ育った環境も、今まで歩んできた人生も、今置かれている立場も違うのにどうして「幸せ」のあり方はひとつだと言えるのだろう。

自分の中の「幸せ」の形は変わらない人もいるだろうし、変わっていく人もいる。
その中で大事なことは、自分の幸せを他人に委ねてはいけないということ。

結婚生活を見直したい人、子どもづくりに悩んでいる人、自分が壊してきた人生の瓦礫に埋もれていまにも息絶えてしまいそうな人、あらゆる岐路に立たされる女性の共感を寄せる1冊を、「ユーモアがあって、聡明な友人からの手紙」感覚でぜひページを捲ってみて欲しい。

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