『ナナメの夕暮れ』を読んだ感想

「ナナメの夕暮れ」を読んだ感想読み物
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あらすじ

このエッセイは、2015年8月から2018年4月まで「ダ・ヴィンチ」に連載されていたものと、書籍用に加筆されたもので構成されています。

この世界に入った30歳の頃に感じていた、外側とのギャップや自意識により、縛られていた考え方や行動範囲は、40歳を目の前に少しずつ解放されていく。

歳を重ねて、見えてきた社会との関わり方とは。
ついに、「自分探し」と「社会探し」が完結!

感想

本人もあとがきで「今回は随分とバランスの悪いエッセイ集になったなと思う」、「青年とおっさんの狭間の不明瞭さが全体を覆っている」とお話しされている。

かえってそれが人間らしさを強く感じさせ、若林さんの心の成長記録のようにも捉えられる。

著者の等身大の言葉はかっこつけすぎていないからこそ、自分や社会と折り合いを探している読者にすんなりと心に入ってくる。

わたしのような人間は、自分や他人に対して理想を作り上げすぎてしまい割と0、100で物事を区別してしまう癖がある。

そんな時に若林さんは、部活で真面目にやっているんだけれど、時々サボり方を教えてくれる優しい先輩のように、決して否定はせずに抜け道をそっと教えてくれる。

真実はあまりにも残酷で、あまりにも美しくて、まともに向き合うと疲れてしまうから。真実はたまにぐらいが丁度いい。

若い頃に比べ経験が増え、だいたいのことが想像の範囲内になってしまい、「行きたいところが見つからない」、「スベっても落ち込む体力がないので向上心が減ってきた」と語る。

そんな若林さんに新しい風を吹き込んだのが、「オードリーのオールナイトニッポン」10周年の記念ライブツアー。

“ハイセンスだと思われたい”という自意識が低下したことで、バージョンアップされたオードリーの漫才。

今までは緊張している自分をなんとか落ち着かせようと様々な工夫をしてきたけれど、緊張していることに感謝し、それを楽しめるまでに。

エネルギーを“上”に向けられなくなったら終わりではない。“正面”に向ける方が、全然奥が深いのかもしれないと思えたのだ。

不明瞭な期間を経て、青年からおっさんへと進んでいく若林さんが、わたしにはかっこいい大人に見えてしょうがない。

読むたびに共感できる部分が増えていく、自分探しをしている人への指南書。
“合う人に会うために”今日もがんばろう。

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