『オルタネート』を読んだ感想

読み物
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加藤シゲアキ
新潮社


高校生しか使うことが許されないマッチングアプリ「オルタネート」は学校生活を謳歌する上で必須アイテムのようだ。

気負いせず気になる相手とコネクトできたり、自分の好みなどあらゆる情報を与えながらオルタネートを育てれば自分と相性の良い人を効率よく紹介してくれる。

普遍的な青春生活において、SNSが普及した現代「繋がる」ことの意味をもう一度考えさせてくれる。


今の時代を生きる学生は情報過多の中で、取捨選択の力が試される。

勝手なイメージで数少ない選択肢の中からなにかを選んできた自分の時代と、多いものから選び取る今の世代とを比較して1つ1つの決断が流れ作業のように薄く捉えてしまう良くない考え方をしていたと反省した。

SNSが半ば必須な時代に少し距離を置きたい、使いたくないという決断や意思表示をする勇気は自分たちの世代がLINEをやる、やらないとは比較にならないだろうなと思う。

判断力や決断力を磨く習慣が今は学生よりももっと前の段階から求められているのだろう。

『オルタネート』は、学生物語なのに大人が置いていかれずむしろ若者たちの素直さや健気さがじんわりページを捲るたびに伝染して、過去の自分とも向き合える優しいストーリー。

私も高校の文化祭をきっかけに当時お付き合いをした人がいたので、青臭さとか忘れちゃいけない記憶を思い出せた。

曖昧な直感で人を好きになっていいのかと不安に思う時期がきても、その時には悩まなくていいことだったと今になって思う。

社会人になると四季やイベントを意識しないとあっという間に1年が過ぎやすい。

作中に園芸部の話もあり、読み終える頃には春を感じながら新たな心で新年度を迎られるだろう。

桜が咲く前に読めて良かった。

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