あらすじ
どこでもいい、いつでもいい。
一緒に行こう。旅に出よう。
人生を、もっと足掻こう。
ハグとナガラは大学時代の友人で、卒業後ハグは東京にある大手広告代理店に勤めキャリアウーマンに。ナガラは大手証券会社の大阪支社に就職した。
ハグは35歳の時に課長職までこぎつけ、5年間付き合った彼氏もいて遠くない未来に結婚するだろうと思っていた。そして子供を出産して、40までに部長に昇進と…。
しかし、思ったとおりに人生を生きていける人間が何人いるのだろうか。
ほんのささいな出来事をきっかけに、ドミノ倒しのように崩れ落ちていく人生。
彼氏に振られ、職も失い、絶望していたハグに届いた一通のメール。
ナガラからの連絡を機に、それから季節ごとに女ふたり旅に出かけた。
三十代が過ぎて、いやなことやしんどいこともあった。四十代に入り親の介護で旅の休業宣言をせざるを得ないときも。
人生の真昼でもなく、黄昏でもないけだるい午後三時あたりを、旅していたと思っていたハグは五十代に入り、人生の寄り道を楽しめる年齢になっていた。色んな景色を見てきたふたりは、もっとも豊かな季節のさなかにいる。
人生を、もっと足掻こう。
感想
内容を知らずに積読の中から選んだ一冊が今のわたしにピッタリすぎて、読書との縁ってあるよな〜とつくづく思いました。
現在、突然連絡が取れなくなってしまっているんだけれど、わたしにもハグとナガラのように旅友がいます。
今年も一緒に旅をしようと話をしていた矢先の出来事でどうして連絡が取れないのだろう?と正直とても落ち込んだし、「彼氏がいなくても人間関係で傷つくこともあるかー」とそんな当たり前のことを思ったりもしました。
コロナで随分と人と会う機会も減っていたので、人との距離を少し置いてもいいかなと寂しい考えも浮かんだことも。
けれど、わたしは彼女にも事情があって今は連絡ができない(連絡をしない)のだろうなと思い、今はそっと見守りいつかまた一緒に旅に行きたいと思える日まで信じて待ってみようと思っています。
そう決断した時ににこの本を読んで、少し肯定してもらえたような気持ちになりました。
ハグとナガラも長い女ふたり旅の間には環境や精神面での変化が訪れ、タイミングが合わなかった時期ももちろんある。
それでもふたりは旅という寄り道に必ず戻ってきて、その度に力を蓄え、嫌なことや辛いことを乗り越えてきた。
臆病なわたしは変化が怖い。始まりは終わりの始まりだと考えてしまう。
けれど、楽しいことはずっと続かないわけではなく、時に形を変えながら続かせていくものなのでしょう。
いつかまたその時が来たら、一緒に旅に出よう。
そしてなんのことでこんなに笑っていたのかと、最高の笑顔の写真を見て、もうひと笑いしよう。